日差しが穏やかになり、過ごしやすい季節になってきました。
でも、肌の調子はどうでしょうか。
「日焼け止めをつけているのに、なんとなく肌が疲れている」
「春になると、乾燥やくすみが気になりはじめる」
そんな声をよくお聞きします。
じつは、紫外線は真夏だけの問題ではありません。
5月ごろから紫外線の強さは急激に上がりはじめ、
肌への負担も少しずつ積み重なっていきます。
この記事では、東洋医学(とうようがく)の視点から、
肌質に合わせた紫外線対策のポイントをお伝えします。
外側からのケアだけでなく、内側からのアプローチも取り入れながら、
肌本来の力をていねいに守っていきましょう。
5月の紫外線はなぜ強くなるのか
春夏の肌へのダメージ
気象庁のデータによると、日本の紫外線量(UVインデックス)は
5月前後から大きく上昇し、夏にかけてピークを迎えます [出典1]。
感覚的には「まだそこまで暑くない」と感じる時期でも、
空からの紫外線はすでに強くなっているのです。
紫外線には大きく2種類あります [出典3]。
- UV-B:肌の表面に働きかけ、赤みや炎症を起こしやすい
- UV-A:肌の奥まで届き、じわじわとダメージを蓄積させる
どちらも、肌の水分バランスやキメを乱す原因になるとされています。
予防が重要な理由
紫外線の影響は、浴びてすぐ現れるものばかりではありません。
長期的には、肌の乾燥・色素沈着・ハリの低下などに
つながるとされています [出典3]。
「まだ5月だから」と油断せず、
日差しが強くなる前からケアをはじめることが、
肌を長期的に守る上で大切な考え方です。
東洋医学が見る「肌質別」紫外線対策
陰虚体質の特徴と紫外線リスク
東洋医学では、肌の潤いは「陰(いん)」と呼ばれる体の水分・栄養素の流れに
支えられていると考えられています。
「陰虚(いんきょ)」とは、この潤いが不足しがちな体質のこと。
古典的な東洋医学の見解では、「腎(じん)」という概念が
肌の水分保持や肌の再生力に深く関わるとされています。
陰虚体質の傾向がある方は、
紫外線を浴びることで肌の乾燥がより進みやすく、
回復にも時間がかかることがあるとされています。
乾燥肌が起こす悪循環
乾燥した肌は、バリア機能が低下しやすい状態です。
バリアが弱まると、紫外線のダメージを受けやすくなり、
さらに乾燥が進む——という悪循環が起きやすくなります。
東洋医学では「気(き)・血(けつ)・水(すい)」という
3つの流れが体の状態を支えていると考えます。
このうち「水(すい)」の巡りが滞ると、
肌の潤いが届きにくくなると言われています。
あなたの肌タイプは?簡易チェック
以下の項目に心当たりがあれば、
陰虚タイプの傾向がある可能性があります。
- 肌が乾燥しやすく、夕方になるとくすみが気になる
- 夜更かしや睡眠不足の翌日、肌の調子が特に落ちやすい
- 熱い飲み物を好み、のどが渇きやすい
- 目の疲れや乾燥感を感じることが多い
複数当てはまる方は、体の内側からの潤い補給を
意識してみるとよいかもしれません。
スキンケアの3つのポイント
ポイント① 肌の潤いベース作り
紫外線対策の基本は、ケアのベースとなる肌の潤いを
しっかり整えることです。
洗顔後、できるだけ早めに保湿をする。
日焼け止めを塗る前に、肌の水分が十分にある状態にする。
この順序を意識するだけで、肌のバリア機能を守りやすくなります。
日焼け止めは、毎日のルーティンに無理なく組み込めるものを選ぶと
続けやすくなります。
ポイント② 食生活からのアプローチ
東洋医学では、肌の状態は食べるものに大きく影響されると考えます。
陰虚タイプのケアとして古くから用いられてきた食材には、
黒ごま・山芋・くるみ・白きくらげ・豆腐などがあります。
これらは「潤いを補う」とされる食材として知られています。
一方で、辛いもの・揚げ物・アルコールは
「熱」を生じやすく、肌の乾燥を助長するとされるため、
とりすぎには注意が必要です。
「食べるもので肌を整える」という視点は、
東洋医学がとくに大切にする考え方のひとつです。
ポイント③ 日中の過ごし方
紫外線が強くなる時間帯(おおむね10〜14時ごろ)は、
できるだけ直射日光を避ける工夫が有効とされています [出典3]。
帽子・日傘・UPF対応の衣類なども、
皮膚への紫外線到達量を減らすうえで役立つとされています。
また、東洋医学では「睡眠」は陰を補う最も基本的な時間と考えます。
夜ふかしが続くと陰虚の状態を深めやすいとされるため、
睡眠の質を整えることも、肌ケアの一環と言えます。
セルフケアのヒント
おすすめの食材・生活習慣
体の内側から肌の潤いを支えるために、
日々の生活に取り入れやすいことをいくつか挙げます。
食材の目安
- 黒ごま・黒豆:腎の機能を助けるとされる食材
- 山芋・豆腐:潤いを補うと言われる食材
- 白きくらげ:肺と肌の潤いに関わるとされる食材
生活習慣の目安
- 就寝前のスマートフォン使用を控える(目と陰の消耗を防ぐため)
- 入浴はぬるめのお湯でゆっくりと(熱すぎる湯は潤いを発散させるとされる)
- 朝晩の白湯(さゆ)を習慣にする
すべてを一度に実践しなくても大丈夫です。
できることから、少しずつ取り入れてみてください。
鍼灸でできることとは
美容鍼灸(びようしんきゅう)の分野では、
鍼(はり)の刺激が皮膚の血流改善に寄与するという研究報告があります [出典4][出典5]。
国内における美容鍼灸の研究は現在も進められており、
個人差もあるため、効果には幅があるとされています [出典4]。
当院では、体質チェックをもとに、
お一人おひとりの状態に合わせたアプローチを行っています。
「肌のことを相談したいけれど、どこに行けばいいかわからない」
という方も、まずはお気軽にご相談ください。
まとめ
- 5月から紫外線は急激に強まり、肌への影響が蓄積されやすくなる
- 東洋医学では、陰虚(いんきょ)体質の方は乾燥・ダメージを受けやすいとされる
- スキンケアは「潤いベース作り・食生活・日中の過ごし方」の3つが柱
- 食材や睡眠など、日常のセルフケアからアプローチできることは多い
- 鍼灸は体質から整えるひとつの選択肢として活用できる
肌のことは、季節が変わるたびに気になるものです。
外側のケアと内側のケアを少しずつ重ねながら、
この春夏を穏やかに過ごしていただけたら、嬉しいです。
参考情報
- 気象庁「日最大UVインデックス(解析値)の月別累年平均値グラフ」https://www.data.jma.go.jp/env/uvhp/link_uvindex_norm56.html(参照: 2026年04月)
- 気象庁「紫外線のデータ集」https://www.data.jma.go.jp/env/uvhp/info_uv.html(参照: 2026年04月)
- 環境省「紫外線環境保健マニュアル2020」https://www.env.go.jp/content/900410650.pdf(参照: 2026年04月)
- 日本統合医療学会誌「国内の美容鍼灸に関する研究論文レビュー」2022年https://www.jstage.jst.go.jp/article/imj/15/1/15_26/_article/-char/ja/(参照: 2026年04月)
- 全日本鍼灸学会雑誌「肌状態に対する鍼治療と指圧療法の美容効果の調査」2012年https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsam/62/2/62_157/_article/-char/ja/(参照: 2026年04月)